【iTunes10のPingはトレンドのひとつ】
今Webサービスのトレンドは何かと言えば、SNSを軸としたソーシャルアプリケーションとゲーム辺りを挙げておけば間違いないでしょう。
iTunes10で新たに追加されたSNS機能Pingは音楽を軸としたサービスですが、この機能の搭載が意味するところはトレンドであるSNSを巡る覇権争いにAppleもご多分に漏れず参戦した、というのが順当なところではないかと思います。
今朝ほどCNETがAppleとFacebookの間で、このPingサービスを巡るちょっとした確執があることをお伝えしましたがJobsがインタビューで述べた〝Appleが同意できない、やっかいな条件〟という言葉が、その争いにデリケートで熾烈な駆け引きが裏にあることを物語っているように思います。

【iTunesとWebの共有価値】
とはいえ、Webで行われているこうした覇権争いは究極的にはユーザートラフィックの奪い合いでしかないのも事実です。
Webの価値はネットワークそのものだとも言い換えられ、膨大な相互作用を持ったソーシャルなネットワークを広げるためのサービスを展開するのは至極自然なことだと思います。
iTunesで展開される時点で既に音楽を軸としていることは、SNSとしての目的は分かりやすく自明です。
いかに魅力的なサービスを提供しトラフィックを集め、その中の数%のユーザーからの売上期待が販売機会を高める点でPingサービスはSNSとセールスが直結した強力なサービスであることが見えてきます。
さらにiTunesでは試聴という形で購入前の音楽の一部がデータとして存在するため、ある意味では音楽を合法的に共有したサービスでもあります。
これはWebにおける最も重要な価値である「共有」とビジネスをとてもうまく融合しているように思います。
ある意味でこの試聴というシステムは、権利者側とユーザーの理想的な落としどころの一つなのかもしれません。

【ユーザーの囲い込み】
またもうひとつ違った見方をすることも出来ます。
Webトラフィックの拡散と囲い込みです。
アプリケーションによってWebブラウザからのトラフィックが減少しているという調査結果があります。(詳細はiPhoneからSafariが消える日?〜プラットフォーム〜で書きましたので気になる方はどうぞ)
これはその言葉の額面だけ受け取ればそれまでですが、それ以上にクローズなプラットフォームでのユーザートラフィックの囲い込みという強い意味合いがあります。
このことはどちらかと言えばiPhoneやiPadのようなモバイルのアプリケーションで言われていたことなのですが、AppleはそれをiTunesというデスクトップの巨大なバックボーン上でPingを展開しました。
その中で起こるクローズな環境でのソーシャルなネットワークを内需とするならば、外需はFacebookの「イイネ!」ボタンなどに象徴される他のSNSとの拡張的なネットワークになるでしょう。
ここから期待できるのはSNSの相乗的な拡大です。
リンクし合ったSNSは基本的には互いのネットワークの価値を高め合うWin-Winのものですが、先の報道で伝えられたFacebookのやっかいな条件はAppleにとってWin-Winでは無かったと言うことでしょう。
従来こうしたSNSはWebブラウザ経由で利用するWebサイト上のサービスとして提供されることが多く、最近はアプリケーションで提供されるSNSとして急速にモバイルでその裾野を広げてきました。
例えば日本でのSNSメジャーであるmixiを例に挙げると、モバイルでの展開を非常に積極的に行い、個人的な経験で言えば数年前Softbankから発売されたはNokia N95でも専用のアプリケーションを提供していたことを思いだします。
Safariを持つMacでさえiTunesでのSNS展開は少々意外な感じもしますが、Pingがブラウザでは提供されないというところが非常に大きなポイントとなります。
ブラウザであるSafariを汎用とするならばiTunesは専用と言うことになります。
同じWebサービスでありながらiTunesで展開するSNSは、こうして汎用のWebサービスからは隔離され、すでにiPhoneやiPadでも展開されています。
どうやら私たちはすでに囲われているようです。

【曖昧になった境界は…】
このようにして同じWebサービスでもそのトラフィックはブラウザとアプリケーションに見事に拡散しています。
逆説的にはその境界はすでに曖昧でWebサービスはWebページで提供されると言うだけではないことを教えてくれています。
そしてそこには商機がありAppleもそれを見逃してはいないと言うことでしょう。
ユーザーとしてはそれが日常生活を潤す楽しいサービスであれば歓迎し、誰もが使うサービスとなります。
個人的にSNSで面白いと感じるのは、自分が意図しない中での思いがけない発見であったりします。
それはとても刺激的で好奇心を高めてくれる経験です。
そう言った経験自体にとっては、ブラウザであるかアプリケーションであるかは重要ではありません。
つまり、ユーザーにとってはそもそもそういった境界に意味は無いとも言えるのではないでしょうか。

PingはiTunesで展開される音楽を軸としたSNSです。
利用していく上でどういった経験や発見があるのか、とても楽しみな気がします。

3 Responses to “AppleのiTunes10は境界を曖昧にしていく”


  1. せからしか.com » AppleのiTunes10は境界を曖昧にしていく: AppleなせからしいBlog,iOS,Apple,Nokia,Blackberry,Bold,Android,iPhone,ipad,Google,… http://bit.ly/aFZfAd

  2. ApplePeople より:


    AppleのiTunes10は境界を曖昧にしていく http://ff.im/-qdPJo

  3. DAJ-RSS より:


    AppleのiTunes10は境界を曖昧にしていく:

    【iTunes10のPingはトレンドのひとつ】
    今Webサービスのトレンドは何かと言えば、SNSを軸としたソーシャルアプリケーションとゲーム辺りを挙げてお… http://bit.ly/aFZfAd

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