先日WWDCで発表されたAppleのiCloud。
Appleが提供する新しいクラウドサービスで、その中身のほとんどはMobilemeから継承されていますが、目玉となるサービスはiTunesクラウドでした。
ローカルにデータを持たないという意味では、保有する楽曲データをクラウドへアップロードしてからダウンロード(ストリーミング)して視聴するアマゾンのサービスとは一線を画し、ここにおいても「音楽事業者」としての側面を持つAppleのシナジーとアドバンテージが存分に活かされることになりました。
その仕組みの面白い所はiTunes Matchによるもので、データのアップロードとダウンロードによるデータではなく、保有楽曲のマッチングでシンプルなシンクロの利便性を確保しています。
その点については既報の通りで、皆さんの方が良くご存じでしょう。

【で、何がすごいのか?】
iCloudをMobilemeの衣替えとサービス強化と捉えても良いのですが、実際はそれだけではありません。
音楽や映画は流通している範囲において、解像度、フォーマット、メディアの違いはあれど基本的に同じ内容を持ったデータです。
いわばアイソトープのようなものでしょう。
そのデータをマッチングによって照合することでローカルデバイスからのシンクロという煩雑性をクリアした意味では、iTunes Matchはおもしろい発想と言えるでしょう。
この面白い発想は、特段の目新しさもありませんがクラウドの意味を良く理解したAppleらしい答えの導き方だと感じました。
ストレージスペースを提供すると言うだけのクラウドとは異なります。
手元に存在するのはデータへのリンクでしかないのです。
リンクからストリーミングする、これはパーソナルなコンテンツ所有の新しい形でもあると思います。
キャッシュとしてはストリーミングもダウンロードですが、そのコンセプトは「モノを所有する」ではなく「権利を所有する」に近い。
手元にはないがクラウド上には存在し、ネットワークを介在して自由に視聴するというスタイルは、新たなビジネスチャンスと展開の可能性を想像させてくれます。
コンテンツは共通であれば何でもこの手が通用するので、これをアプリケーションにも応用することが出来る。
将来、アプリケーションもまたリンクでしか無くなるかも知れません。
そこでは常に最新の状態にアップデートされた環境が、自動で用意されていることでしょう。


【すでに、準備完了】
Appleは戦略的にしたたかで抜け目のない企業です。
既に下地を整えています。
AppleTVはその飛び道具として、すでにリビングへ進出しています。
Appleがある意味では単なるMacの会社ではなくなって久しいですが、Appleが提案しようとしているのはライフスタイルそのものであるように思います。
それに呼応するようにMacのアイデンティティはここ数年で大きく様変わりしました。
OSとしての側面は昔から言われている美しいUIと高いユーザビリティ、機能の向上といった点が上げられますが、個人的に考えるOSの理想像は存在を感じさせないほど老若男女に簡単で便利な道具であるべきだと考えます。
iOSはMac OS Xから派生した軽量版のMac OSですが、MacのアイデンティティはiOSによって大きく変貌を遂げていると考えます。
今から2年前に書いた記事から引用するならば、

OSの有無にかかわらずWebは存在し、そこにアクセスする術さえあればプラットフォームは何でもいい時代はすぐ目の前に来ている。
それはマークアンドリーセンが所望し予言した世界だ。

ここで言うマークアンドリーセンの予言とは、あの有名な言葉です。

ネットスケープが普及すれば、ウィンドウズはデバグの不十分なデバイスドライバーになるだろう」

これは実はApple自身にも言えることではないでしょうか。
「iCloudが普及すれば、Mac OS Xはデバグの不十分なデバイスドライバーになるだろう」
AppleはiCloudによってMac OSXそのものの幕を閉じ、あり方を大きく変えていく可能性を持っているかも知れませんね。
そう考えると、iCloudはおもしろい第一歩だと思います。

一部、加筆、訂正しました。

One Response to “Apple iCloudが広げる特別な未来-Update 1-”


  1. Apple-Style Plus – Apple iCloudが広げる特別な未来 http://bit.ly/kDxcu0

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