今から3年前の6月9日、サンフランシスコは俄に活気づいていました。
当時のWWDCはおそらく、今ほど世界が熱気を帯びて見守るほどのイベントではありませんでした。
その日、Appleは文字通り「世界を変える」デバイスを発表しました。
iPhone 3Gです。
このイノベーションがもたらした物は、昨今のスマートフォン活況を見るにつけ誰の目にも明らかなように、様々なサービス、アプリケーションを生み出す一大産業へと急成長しています。
先日も述べたように、これはすでにBig Playerのゲームへと成長したのです。
今では従来主流だったケータイ電話ユーザーもスマートフォンを手にすることを考え、保守的だった日本のキャリアでさえサービスの内容やビジネス戦略の変更を余儀なくされるほどの動きとなっています。
【iPhoneと似て非なるもの】
私が最も驚いたのは、サムスン電子のギャラクシーが好調なセールスを記録しているという発売当初に伝えられたニュースでした。
どう見てもiPhoneを意識して作られたであろうそのデザインですが、世の中はそれを是として受け入れたのです。
それは世を賑わすiPhoneとは明らかに似て非なる物でしたが、それでもそのデバイスは売れました。
iPhoneを売ることが出来ない2キャリアは、それぞれにスマートフォン販売に注力し、市場を切り開いています。
ある程度のリテラシーを持ったユーザーはそれがAndroidであるかiPhoneであるかを識別し、どちらが自分の用途に合っているのかを判断するに至っています。
【ソーシャルサービス】
また、これに派生するように、広義のモバイルコンテンツも活況を見せています。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は興味深いレポートを発表しました。
国内ソーシャルゲームの市場規模についての将来的な予測です。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、国内ソーシャルゲームの市場規模について、2013年には3048億円となり、国内家庭用ゲームソフト(2010年3180億円)と同水準になるとの見通しを明らかにした。(中略)
家庭用ゲームソフトの市場規模が2009年から2010年にかけて82億円の減少にとどまっていることを考えると、ソーシャルゲームは家庭用ゲーム市場を奪っているとは見ていない、としている。
「三菱UFJモルガン証、国内ソーシャルゲーム市場は2013年に3000億円規模に拡大」より
これは国内の市場規模に関しての予測であり、世界規模の市場となると、この数倍はあるでしょう。
ソーシャルゲーム自体の分析ではありますが、つまり一因としてコンテンツはモバイルで急速に拡大していることの裏返しでもあると考えられます。
レポートでは具体的企業として、GreeとDeNAを上げていますが、Appleの展開するサービスはソーシャルゲームも内包するプラットフォームであるため、より大きな市場規模を持っていることが容易に想像されるでしょう。
【Appleはデバイスメーカーではない】
先ほど例としてあげたサムスン電子ですが、メーカーとしてはとっても巨大なグローバル企業に成長しましたがAppleには遠く及びません。
決定的に異なるのはサムスンはギャラクシーなどを開発・販売するデバイスメーカーに過ぎませんが、Appleはデバイスを開発・販売しデバイスから自社のサービスによって収益を上げるモデルを持っています。
この両方を持ったメーカーは希有の存在で、事実上唯一的にAppleしかいないでしょう。
ほとんどの場合、デバイスとサービスはメーカーとコンテンツプロバイダ、キャリアという風にアンバンドルされています。
特に日本においては、iモード公式サービスなどと言われるように、集金システム持つキャリアを利用することで課金決済を伴うサービスが発展してきた背景があり、更にメーカーはその仕様に沿う物さえ作っていれば端末が売れたためこうした状況はより顕著な物になりました。
これがガラパゴス化を生み出したメカニズムの一つでもあります。
閑話休題、Appleに関して話を戻すとメーカーであると同時にキャリアを経由しない課金サービスを展開する強味を持っています。
これが現状です。
そしてこのわずか3年間で実現してきた、結果でもあります。
【Appleはキャリアを目指すのか?】
Appleがキャリアになるという噂はいくつか存在しました。
MVNOに参入するのではないか?という噂も過去にはありました。
実際、Appleはそうした動きを見せていたらしい痕跡もありますが、今のところ実現していません。
そうした待望論もありましたが、結論としてはキャリアとサービスの完全なアンバンドルが最も合理的であることが明白にもなりました。
ポイントはこの完全なアンバンドルで、キャリアは通信サービスに徹し、サービスは自由な競争にするべきという考えです。
日本においては基本的にこの部分の縛りがきついことから、孫社長率いるSoftBankでなければiPhoneは販売することが出来なかったとも言えます。
これまでの3年間を折り返して、この先3年後を考えた時、モバイルの世界は予測も付かないほど大きく変貌を遂げているでしょう。
その時キャリアとしてのApple mobileは誕生するのか?
とても強力なブランド力はあると思いますが、それほど支配的で強権的なやり方はAppleにとってもユーザーにとってもそれほどメリットはないかも知れません。
クラウドも用意する、コンテンツも用意する、ただし通信インフラはキャリアで、と言うのが完全なアンバンドルの鉄則です。
裏を返すとAppleのより良いサービス展開はキャリアの通信品質に関わってくることでもあります。
その部分をAppleが担うメリットは、それほど見えないのかも知れません。
翻って、キャリアの通信インフラ、次世代通信方式がどうなるのか、周波数割り当てはどうなるのか、インフラ面で気になる所の方が多いようにも思います。



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